しますけと学ぶ世界 
目次
このページで学べる事
- 様々な麻薬の副作用
- 麻薬大国アメリカの現状
- なぜ始めてしまうのか
様々な麻薬の副作用
ヘロイン(アヘン系）
ヘロインはキングオブドラッグと呼ばれている薬物です。ヘロインは、ケシの実から得られるアヘンから化学的に精製される物質です。自然由来の原料から始まるこの物質は、一見すると無害な植物の産物のように思えるかもしれません。しかし、この化合物が脳に到達すると、私たちの神経系が本来持つ痛みの制御と快楽のシステムを乗っ取ります。ヘロインは脳内にドーパミンの洪水を引き起こすことで、強烈な陶酔感をもたらします。この薬物の恐ろしいところは禁断症状の過酷さです。気持ちよくなる効果が切れてくると同時に骨がちぎれるような激しい痛みが体を襲います。この痛みから逃れる方法はヘロインしを再び摂取するしかありません。このようにして、たった一度の使用でも簡単に中毒になってしまうのです。
コカイン
コカインは、南アメリカ原産のコカの葉から抽出される白い粉末状の物質です。コカインの原料であるコカの葉は、かつてアンデス地方で伝統的に軽い興奮剤（コーヒーのカフェインのような）や高山病の薬として使用されていましたが、現代のコカインは化学処理によって極めて高い純度に精製されます。この加工過程で、コカインは本来の植物の性質を超えた危険な薬物へと変貌します。例えるなら、コーヒーの中のカフェインだけを抽出するような感覚です。この薬物を使用すると、最初は強い多幸感、自信の高揚、無尽蔵のエネルギーの感覚が訪れます。しかし、このハイな状態は極めて短時間しか続かず、15分から30分ほどで消え去ってしまいます。その後には強い倦怠感、抑うつ、不安が訪れ、再びあの感覚を求める強い欲求に駆られます。コカインをさらに化学的に操作したクラックと呼ばれる薬物はより危険といわれています。
覚せい剤
覚せい剤は、一般的には「メタンフェタミン」や「アンフェタミン」といった化学物質を主成分としています。これらは、もともと医療用として開発されたものですが、その強力な作用が悪用されるようになりました。製造過程では、風邪薬に含まれる成分などを違法に抽出・合成することが多く、不純物混ざっていることが多いです。つまり、使用者はその純度や中身を確かめることさえできない物質（ガソリンが入っていた例も）を体内に入れているのです。第二次世界大戦時には日本やナチスドイツでもヒロポンやぺルビチンとして活力剤や兵士の能力Upのためにも用いられました。人間失格で知られる太宰治もヒロポン中毒であったといわれています。
フェンタニル
フェンタニルは、医療現場では強い痛みを伴う手術後の管理や末期がん患者の疼痛緩和に用いられる鎮痛薬です。医療用としては極めて有用な薬剤ですが、この物質が不法に製造され、中毒者が増加しています。原材料は完全に化学合成によって作られます。植物由来のアヘン系薬物(ヘロインなど）とは異なり、実験室で製造可能なため、大量生産が容易で、極めて安価に製造できる特徴があります。このことが不法流通を助長する一因にもなっているのです。フェンタニルは過去製造された麻薬の中でも特に強い中毒性を持ちます。フェンタニルの本当の恐ろしさは、その「予測不可能性」にあります。まず、その強力さゆえに、使用者が適量を見極めることがほぼ不可能です。街頭で売られるものは純度もまちまちで、何がどの程度混入されているかわかりません。次に、急速に作用するため、過剰摂取に気づいても救助が間に合わないことが多い現実があります。
アメリカのフェンタニル問題
1990年代、製薬会社パデュー・ファーマがオキシコンチンと呼ばれる強烈な鎮痛剤をその危険性に気づきながらも販売しました。当然のごとく全米にこの薬の中毒者が生まれ、多数の死者が出てしまいました（中毒性がモルヒネよりも高く、過剰摂取で死亡する）。これに対し米国はオキシコンチンを規制しました。するとフェンタニル（オキシコンチンのさらに数倍強い）が違法に製造されるようになってしまいました。現在、アメリカの路上には薬物中毒者があふれてしまっています。毎年１０万人以上の市民が薬物によって死亡しています。
なぜ麻薬を始めてしまうのか
多くの場合、麻薬使用は深い心理的苦痛からの逃避として始まります。抑うつ感、強い不安、空虚感などを一時的に和らげる手段として、麻薬が「解決策」のように感じられることがあります。特に若い時期は、精神的に不安定になりやすいため麻薬に手を染めてしまいやすいといわれています。また、「好奇心」や「冒険心」も無視できません。「一度だけなら大丈夫だろう」という軽い気持ちが、依存への第一歩になることがあります。脳の報酬系が強烈な快楽を記憶し、それを再び求めるように働く生物学的メカニズムが存在するため、一度経験するとその回路が形成されやすくなります。しかし、毎回得られる快感は減っていくので、最後にはただの廃人になってしまうでしょう。
