テンセント(腾讯)ってどんな会社?中国No.1企業を解説

今日は中国で最も時価総額が高く、利益を上げているテンセントという会社を紹介したいと思います。日本ではあまり知られていないものの、身近にテンセントがかかわる商品があったりします。興味深い企業なのでぜひ最後まで見ていってください!

目次

テンセントの基本情報

Tencent(騰訊) ロゴ - ソーシャルメディアとロゴ アイコン
夜の街
深圳にあるテンセントの本社ビル

テンセント( 腾讯控股有限公司)は広東省深圳市に本社を置く中国最大の企業です。テンセントは1998年、馬化騰(ポニー・マー)によって設立されました。テンセントはSNS、オンラインゲーム、決済サービスなど多岐にわたる事業を展開し、現在では世界有数のITコングロマリット(様々な事業を行う企業のこと)へと成長しました。テンセントはWeChatやQQなどのサービス、フォートナイトで有名なEpicgamesの主要株主であることで有名です。テンセントは世界最大のゲーム会社でもあります。

テンセントの歴史

1998年:馬化騰(ポニー・マー)らが中国・深圳で「深圳市騰訊計算機系統有限公司(Tencent)」を設立

1999年:インスタントメッセージサービス「QQ」(当初はOICQ)をリリース。無料サービスで急速にユーザーを獲得

2000年:インターネットバブル崩壊の影響で資金難に陥るも、南アフリカのメディア大手Naspersから出資を受け生き残る

2004年:香港証券取引所(HKEX)に上場する

2008年:ゲーム事業に本格参入する。CrossFireやDNFなど(ゲーム自体は韓国の企業が開発)がヒット

2011年:モバイル向けメッセージアプリ「微信(WeChat)」をリリース。中国国内で爆発的に普及する

2015年:WeChat Pay(微信支付)がモバイル決済市場でAlipay(アリババ社のサービス)と競合する

2016年:スーパーセル(クラッシュ・オブ・クランの開発元)を買収する

2017年:時価総額がFacebookを超え、世界トップ5のIT企業になった

2018年:クラウド事業「Tencent Cloud」を強化される

2020年:中国当局によるIT規制強化(独占禁止法)の影響を受け、成長が鈍化する←後に解説

2021年:ゲーム課金規制(未成年者制限)により収益が一時減少する

2022年:メタバース・AI・クラウドゲーム(「Tencent Cloud Gaming」)に注力

2023年:中国版ChatGPT「混元(Hunyuan)」を発表する

テンセントのサービス・事業内容

微信(WeChat)

WeChat Logo PNG Transparent & SVG Vector - Freebie Supply

WeChat(微信)は、2011年にリリースされた多機能メッセージングアプリです。当初は簡単なチャットツールとしてスタートしましたが、現在ではSNS、決済、ゲーム、ミニプログラムなど様々な機能を統合した「スーパーアプリ」として発展しています。WechatーpayはアリババのAlipayと同様に中国の支払いの場面でたくさん使われています。

QQ

QQ Icon

QQは中国国内で最も利用者の多いSNSの一つです。1999年にサービスが開始され、現在ではPC版とスマートフォン版(QQモバイル)の両方が提供されており、ユーザー数は数億人にのぼります。内容はWeChatと大差ありませんが、QQは若者が多く利用するという特徴があり、すみわけがなされているそうです。

海外企業への買収・投資

テンセントは中国国内を中心にサービスを展開し、そこで得た利益を海外の企業に投資してさらに利益を得ています。テンセントの海外投資の背景には、中国国内市場の成長鈍化とグローバル競争への対応があります。テンセントは中国政府の規制や国内市場の飽和状態を踏まえ、海外市場で収益源を多角化する必要に迫られています。また、技術やコンテンツを獲得するための戦略的買収(M&A)も重要な目的です。

世界で最もプレイ人口が多いといわれているゲーム「リーグオブレジェンド」の開発元である来アットゲームズや「クラッシュオブクラン」で有名なフィンランドのスーパーセル社の買収しています。またテンセントミュージックはSpotifyとtencentの合併企業でもあります。

中国共産党との関わり

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中国共産党は「ネット強国」を目指し、デジタル経済の発展を重要な政策として推進しています。テンセントはこうした政策に協力的(でなければならない)であり、政府が主導するデジタル化やサイバーセキュリティ強化の取り組みに積極的に参加しています。例えば、同社は「社会主義核心的価値観」を宣伝するコンテンツの配信や、政府の監視システムに活用可能な技術の提供を行っています。また、中国政府が推進する「社会信用システム」にも間接的に関与していると指摘されています。中国企業には必要ならば国家に情報提供をしなければならないためテンセントの主要サービスであるWeChatの会話などは共産党に筒抜けであるとも言われています。

2021年、中国共産党は独占禁止法違反(テンセントの音楽サービスに対し)であるとしてテンセントに罰金の支払いを命じました。テンセントは、過去の多くのM&A(企業買収や投資)について、中国の独占禁止法が定める事前申告義務を怠っていたとされています。特に、2016年に中国音楽集団を買収した件は、国家市場監督管理総局(SAMRとも呼ばれる独占禁止法を執行を担う機関)によって独占禁止法違反と結論付けられました。この買収により、テンセントとCMCの音楽市場におけるシェアが80%を超え、競争を阻害したと判断されました。

また2023年には共産党が突然ゲームへの規制をしたため時価総額が一時11兆円も吹飛んだこともありました。テンセントは一時的にゲームのリリースを禁止させられました。ゲームのリリースが再開された後、テンセントは「習近平に拍手を」というゲームをリリースし体制への協力姿勢をアピールしました。

まとめ

テンセントは中国社会や世界に大きな影響力のある企業ですが、共産党がより大きな影響力を持っていることがわかりました。中国社会のむずかしさが、よくわかりました。8月に深圳へ旅行へ行く予定なので、豪雨じゃなければ本社を見に行きたいと思っています。

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